2019/12/05 23:34
竜の玉、
白腹の声、
竹鉄砲の昔。
少年に、日は群青に瑠璃色にあったが、
少女には日は何色に照りわたったのか?
「くれなゐ」とだれか答える。
檀のほのぽのとした赤い実がわずかに残っている。
── 詩「青空」より
昔はどこの家にもリュウノヒゲがあって、竜の玉はこどもの冬の玩具でした。それがいま探そうとすると、案外見当たりません。
あのつやつやした青、群青の輝きはどこに?
あちらにある──とでも言うような〈ふうら〉。
これでしょう──とでも言うような〈ふうら〉。
いえいえ、そんなに大きくありません。もっとつぶつぶの……。
ぼくの知っている竜の玉は、林の中のコブシの根元に隠れていました。このあたりでただ一本のコブシでした。けれどそのコブシももうありません。林の中へは入れなくなってしまいました。
この絵は、花好き草好きのひとから貰ったリュウノヒゲで描きました。
最初は竜の玉を付けたままの茎で、それから細長い葉で。葉のほうが柔らかい線がよく引けました。