2020/01/28 20:38

勝手口の通路の奥にビワの木があります。家人が植えたもので、まだ若いので実は生りません。常緑の木ですが、時折枯れた葉を落とします。その一枚、まだ落ちる前のが目に付いて、触れるとぽろと取れてしまいました。それでは筆にと文房に持ち帰ります。




こんな葉っぱです。なにやら印象的な一枚ではありました。使った筆は大概記録として残します。うーむ、なにやら見覚えのあるような、誰かの絵にあったような……。マン・レイでした。「Lips」という、空に赤い唇の浮かんだ作品。

その葉で描いてみました。まず、枇杷という字。



最初は柄の方を墨に浸しました。付け根が広がって二重になったりで、風変わりな線が出ました。




今度は葉先に墨を付けて。先が細くて、やや折れ加減だからどうにか筆になります。柄のようには滑らないので、思わぬ線が躍るということは無い代わりに、腰はしゃんとしません。危なっかしいから、こちらも神経込めて、それでぎりぎり「よし」と思えるものが面白かったりします。




これも葉っぱで。より葉っぱらしいタッチになりました。

ところで、マン・レイを思い出させてくれたビワの葉が文房に見当たりません。空に浮かぶ唇に憧れて飛んでいってしまったのでしょうか。そのままでは萎れてしまうので、何かの本に挟んだような気もするのですが、それらしい本がありません。