2020/06/19 01:43

六年ほど前、隣りが空地だった頃に、見馴れない蕾を見つけました。白い手毬のような蕾が開くと、空色が滲んできて、だんだん青一色の花に変化していきます。草花サイトで調べてニゲラという植物とわかりました。黒種草とも言います。ラテン語のnigerが語源で種の色から。英語では love in a mist, devil in a bush となんだか正反対の呼び方。細い葉はヴィナスの髪とやら。


その頃はまだ草画を描いていませんので、筆になってもらったのは四年後の六月。種だけになっていました。





二度目が今年の五月。ボブ・ディランの誕生日。
ハーモニカを吹いてくれる〈ふうら〉。

 Blowin' in the Wind
 Mr. Tambourine Man
 I am a Lonesome Hobo
 I'm Not There
 One More Cup of Coffee

好きな曲はたくさんあります。旅や放浪の歌を愛聴してきました。





吟遊詩人には憧れました。〈ふうら〉の展覧会と詩の朗読は、そのこころもちでやっていました。「吟遊」と題したこともあります。
ぼろぼろになるまでやりたかったのですが、いろんな事情でネットに上がりました。遥かな原野がそこに広がって見えたからです。

 I Shall Be Released

この歌が生きるにつれて解ってくるようになりました。旅も、生も〈解放〉へのみちのり。
なぜか明るく溌剌と歌うバージョンよりも、地下室に眠っていた物憂げなブルースのような歌い方に惹かれています。いつか叶うだろう〈解放〉を、遠くの遠くの遠くから幻のように視ているのが、なんともせつなく胸を打ってきます。

 



ニゲラが、ほとんどディランの話になってしまいました。五月二十四日に咲いていたのが縁。

六年前は種の収穫を心待ちしていたのに草刈り。あの頃は仕事が一段落すると空地に出て、雑草たちを巡ったものです。蝶にも親しみました。夜にはそこで星も観ました。遠くへの散歩が叶わなくなって、空地をぶらぶらすることが増えました。そこでいろんなことを学んで、
楽しく面白く過ごしたことから、「アカバナユウゲショウ、ニゲラ、ツマグロヒョウモンなどには空地賞をあげたい」とその年の大晦日のTwitterに書き込んでいます。