2020/10/22 20:33

秋になると、次から次へと花が咲き、心そわそわ、足裏むずむず、それでいて散歩で出会う草花たちの数に画作が追いつきません。色草、千種、八千草という言葉があるように、様々な花が咲き継いできます。

その中から、初めての出逢いの一本やら、懐かしい再会の一本やらを選んで筆になってもらいます。




シモバシラで描いた〈ふうら〉。
秋に白い総状花序を咲かせ、冬は茎から霜の花を創出します。どちらの造形も面白い。
霜の花の頃に初めて枯れ茎を筆にして、今回は蕾を着けた茎で十枚ほど。その描き始めの一枚です。




昨年裏庭にひょっこり咲いて、美しい青にはっとさせられたメドーセージ。学名はサルビア・ガラニチカ。
花が終わったらと待っている内に忘れてしまい、この秋やっと最後の一本を手にしました。




フジバカマが咲くと、アサギマダラが訪れてこないかなと期待してしまいます。
旅の蝶に憧れて、ついひらひらと舞うような……ふうらを描いたのか、アサギマダラを夢見たのか。




最後は月下美人。一夜の花が凋んで乾くと捌き筆のような姿で、文房に吊るしたり、筆筒に立てたりして楽しんでいます。実際に使ってみることもありますが、弾力が無く、書き味はあまりよろしくありません。
上の一枚は花ではなく、伸びすぎたシュートをカットしたもので描きました。切り口が硬くなっていたので新しく筆先を作ったら、ねばねばして墨が妙な具合に紙に乗ります。こんな草筆は初めて。その分独特のタッチ、雰囲気になります。