2021/10/01 17:44

今年は比較的のんびり描いていましたが、秋になるといっきに草花が咲いてきて、ついつい草筆で遊びたくなってきます。だんだん遠出が出来なくなっても、狭い庭ながらミズヒキ、ツユクサ、イヌタデ、シュウカイドウなどが花を着け、シュウメイギク、シモバシラ、ホトトギス、などはこれから。コムラサキやスイフヨウなどの木も絵心をそそってきます。


散歩に出れば、キンミズヒキ、キンエノコロ、ツルボ、クマツヅラ……なじみの草との再会。カガイモやスズメウリは生息地まで遠足しましたが、草刈りに遭って姿も見えずがっかり。
年々淋しくなる散歩道で、毎年喜ばせ慰めてくれるのがノコンギクです。





ノコンギクは以前の借家の庭にも咲いてくれましたが、その紺色の美しさにはっとしたのは白馬山麓。

  野 紺 菊 野 紺 を も ち て 自 愛 せ り

思わず詠んだ句です。
ウメバチソウ、オトギリソウ、カライトソウなど普段お目にかかれない花に夢中になっていた山路で、馴染みの花の思いがけぬ色合に打たれたのでした。その花がその花であるための色。
野紺。
野魂。





草画で描いたふうらが八千枚になろうという日(9月20日)に選んだ筆はノコンギクでした。
上のふうらが記念のそのひと。

ノコンギクは筆としては茎が硬く、撥ねやすく、曲線が難しい部類ですが、概ね草筆はそんなものです。茎がしっかりしているからこそ風雨に負けずに立っているのですから、そこはむしろ讃えながら……。





これは初めてノコンギクで描いた四年前(2017年)、二度目のセッションで生まれた一枚。
読みにくいけれど、花の中心部に俳句を書いてあります。

  野 菊 な ら そ こ ら 少 女 の 胸 に 咲 く